グレーな彼女と僕のブルー

 紗里がああして不可解な行動を取る時は、たいていその裏に何かしらの意味が潜んでいるのだ。

 そして今まで見てきたそのどれもが、全て人助けに繋がることだった。

 だとしたらあの角材も、いずれ何らかの効力を果たすということか……?

 そのうち誰かに移動させられそうな気もしたが、僕だけは黙認することにした。

 放課後になり、誠と共に部活へ向かう。試合はあさっての日曜日だから、今日のメニューもタイムトライアルになるだろう。

 部活でウォーミングアップを終えたあと、いつものペース走をこなすよう、先輩から言い渡された。

 顧問の長谷川先生は職員会議で遅れているそうだ。

「おい、坂下。おまえ最近記録が伸びてるんだってな?」

「……あ、はい」

 急に古賀先輩に話しかけられた。いつも無愛想で怖いイメージしかないのだが、走り込むことに関しては真面目な先輩だ。

 何かアドバイスだろうか?

「ここらで調子に乗って気が緩むのが一番ダメなパターンだ。おまえだけ外周プラス3週な?」

「……え」

「そのあと五千のタイムも計るからな」