ノートに走らせていたシャープペンシルを止めて、先ほどあった時間を思い出していた。

 結果から言うと、紗里が企画したサプライズバースデーは大成功だった。

 いつもの時間に帰宅した紗代子叔母さんを紗里が考えた方法で出迎えた。

 なんともベタで分かりやすかったのだが、家中電気を消して隠れ、紗代子叔母さんがキッチンに並べたご馳走に気付くとともにクラッカーを鳴らした。

 言うまでもなく、叔母さんは驚き、顔を綻ばせ、目には少しだけ涙を滲ませていた。

 僕と紗里からは夕飯のプレゼントで、大和からは肩たたき券五回分をプレゼントしていた。

 あらかじめ母には早めに帰宅してもらえるようにメッセージを送っていたため、賑やかなキッチンでみんな揃っての誕生日会となった。

 ハンバーグと唐揚げが食べたいと言っていた紗里は、手を合わせるなり、いち早く主菜に箸を付けていた。

「なにこのハンバーグ、激ウマ! これお店で食べるやつより美味しいよね、やっくん!」

「うんうん、オレもっと食べたい!」

 育ち盛りの大和を見て紗代子叔母さんが笑い、ひとり二個ずつで分けたハンバーグのひとつを彼にあげていた。

 誰の誕生日か分かったもんじゃない。