グレーな彼女と僕のブルー

「て言うかさ。ケーキのスポンジが綺麗に膨らんだじゃん? あれはなんか意外だった」

「んん? どういう意味〜?」

「だって失敗するかと思ってたから」

「失礼な! 好きで時々作るって言ったじゃん」

「いやいや、下手の横好きって言葉があるだろ? それかと思ってて」

「もぉー」

 紗里は若干むくれて頬を膨らませる。が、すぐに笑顔に戻った。

「言うねぇ〜、恭ちゃん」と続け、アーモンド型の瞳を細める。

 その目を見て、兼ねてから聞いてみたかったことを、この際だからと思って尋ねることにした。

「あのさ。おまえなんでいっつもカラコンしてんの?」

「……え?」

「今日なんて学校ないのに」

「……うーん? やっくんから何か聞いた?」

 ……う。

「質問に質問で返すなよ」

「ははっ、ごめんごめん」

 足元に視線をやり、紗里がぎこちなく笑う。何かを考える素振りで少しのあいだ押し黙ってしまう。

 その仕種を見て、僕は眉を潜めた。

 そんなに大変な理由、なのだろうか?

 余程言いたくない事情があるのなら、言わなくても大丈夫だと言おうとしたとき。紗里が真顔でポソッと呟いた。

「あたしの目ってさ。……変なんだぁ」

「……変?」