グレーな彼女と僕のブルー

「あ、でもね。デコレーションに使う生クリームとフルーツはこれから買い出しに行かないとだめで……」

「じゃあ無理じゃん。時間的に厳しくないか?」

 ケーキというものがどれぐらいの時間でできあがるのか分からないので、買い物の時間を入れれば間に合わないのではないかと思った。

「ううん、多分それは大丈夫。スポンジ自体は今ある材料でできるから、ケーキクーラーで冷ましてる間に買いに行けば間に合うの」

「……そうなんだ」

 ケーキ作りに関しては紗里に任せておいて大丈夫だろう。たとえ失敗したとしても、スポンジならスーパーに売っているし。

 ハンバーグを成形するまでの工程と唐揚げの下味を付けるところまでを先に済ませておけば、あとあとスムーズに進みそうだ。

 と言うか、そもそも紗里に買い出しを任せておいてその間に僕が主菜をある程度作っておけば……。

そう思うのだが。

「ねぇ、恭ちゃん」

「……うん?」

「昼には雨も弱まるだろうし、恭ちゃん一緒に行ってくれるよね、お買い物」

「っえ」

 うーん……。

 紗里とふたりで買い物かぁ。

 普段から女子と出掛けることがないので、なんとなく身構えてしまう。