グレーな彼女と僕のブルー

 冷蔵庫の冷気でゾクっとするのと頬が熱くなるのが同時にきて、僕はぎこちなく頷いた。

「ね、ちょっと来て!」

 再び手を引かれて今度は二階に連れて行かれる。

 紗里の部屋だ。

 女子の部屋ですを体現した、いかにもな雰囲気で、入った途端に構えてしまう。

 壁紙は薄いピンク色と白の二色使いで、カーテンはそれに合わせたピンクグレーだ。隅に置かれたベッドには五、六体のぬいぐるみが並んで座っている。

 勉強をするためのデスクも折りたたみテーブルもピンクを貴重とした色で纏められていて、なおかつ丸みを帯びた家具ばかりが置いてあった。

 子供の頃から可愛いものが大好きで、それを愛でるのを趣味としていた彼女らしい部屋だ。

「あー……。そう言えば、大和は?」

「うん? 隣りだよ? 静かだからまだ寝てると思う」

「そっか」

 そう呟いてから紗里が指差した壁の向こうに視線を送る。

 この部屋に紗里とふたりだというのが、何となく気恥ずかしい。

 大和がいればもう少し雰囲気も変わるだろうに。

「ねぇね、恭ちゃん。今日の献立を考えてみたんだけどさっ、みてみて?」

「……あ。うん」