グレーな彼女と僕のブルー

 いつの間にか隣りにいた母が離れていて、僕は周囲に目をやった。母は大家さんや消防の人と話をしていて、程なくして僕の元へと戻って来る。

 茫然と立ち尽くしていたわけだが、帰宅して既に三十分が過ぎていた。そろそろ七時前なので、辺りは暗い。

「恭介、必要な荷物をまとめたら直ぐに出るわよ?」

「え。出るってどこに……?」

「あんたの従姉弟(いとこ)紗里(さり)ちゃんの家よ」

「………へ?」

「住む場所が見つかるまでの間、居候させてもらえるように話をつけたから」

 ***