「恭介はさぁ。好きって言ったのか? 赤城さんに」

「……は?」

 誠の急な質問を聞き、慌てて隣りに顔を向けた。

 今しがたビルドアップ走を終えたばかりで、僕と誠は薄い水色の空を見上げてグラウンドに寝転んでいた。ドンドンと打ち鳴らす太鼓のような拍動が、徐々に収まっていく。

 時折吹く冷えた風が火照った体を冷ましてくれるが、汗をかいた分いい加減引き上げないと風邪をひきそうだ。

「だって付き合ってるんだろ?」

「……っなん、」

 有酸素運動とは違った意味で、顔がカッと熱くなる。上体を起こして誠を見下ろした。

「て言うか、何で知ってるんだよ……俺があいつのこと、その……」

「いや。見りゃ分かるし」

 誠は平然とし、当然だろと言いたげに眉を寄せる。

 正直、誠には言いようのない罪悪感みたいなものを感じていた。親友が日頃から好きと言ってやまなかった紗里を同じく好きになってしまった。

 それどころか何の相談もしてこなかった。

「俺のことはさ、気にすんなよ」

「……え」

 僕の表情から察したのか、誠は後ろ手をついて陽気に笑った。