インテリアショップを後にした僕が、次に向かう場所はひとつだった。

 今も紗里がいると思われる警察署だ。実際に行ったことのない場所だったので、駅で電車を待っている間、スマホで地図を検索して行き方を調べた。

 その際、今朝紗里に送ったラインが既読になっているかどうか確認するが、まだトークページを開けた形跡は見られなかった。

 警察署のある最寄りの駅で降りて、大通りの交差点まではナビに頼って足を進めた。

 警察署に到着し、大きな外観を一望する。図書館や市役所ぐらいの広さはあるかと思われた。

 広い駐車場には数台の車が停まっていて、その内の二台はパトカーだった。

 警察というだけで、目に見えない圧迫感を感じ、見られているぞと体の内側から警告音が鳴る。別に悪いことなんて何もしていないのに、入るのを躊躇ってしまう。

 行くぞ、と足に喝を入れて、ただ真っ直ぐ前を向いて歩く。

 三段ほどの階段を上がり、いよいよ目の前に本拠地が迫っていた。

 正面玄関の(わき)に、警備の人が左右に一人ずつ立っていた。ガラス扉へ向かう際、ジロリと怪訝な瞳を向けられるが、特別声をかけられることなく突破する。