グレーな彼女と僕のブルー

 今度は僕が首を傾げる番だ。率直に紗里のことを話さなければ、先には進めないと思った。

「実は昨日……僕の従姉弟が警察に連れて行かれたんです。僕より一個上の女子なんですけど」

「……、え?」

「火事当日、近所をうろついていたそうで……刑事さんに何か疑われているみたいなんです。本人も僕の家で何かを燃やしたって言ってて。
 でも、あいつは絶対やってないんです。人を助けることはあっても、人に危害を加えることはしないやつなんで」

 そこまで言ってから、ハァ、と息をついた。蓮田さんは目を細め、「なるほど」と呟いた。「あのボヤはその子が」と独りごちている。

「坂下くんはその彼女のことを助けたくて、それで私に確認しに来たってことね?」

「……はい」

 いきなり話を聞きに来た理由を蓮田さんなりに解釈してくれて助かった。僕は深々と頷いた。

「あの日はね。ここの仕事を終えて帰宅して……いつもと同じ、四時半ごろに家に着いたの。
 いつも通り二階に上がって洗濯物を取り込んで、料理してテレビを観るつもりだった。でも、急に出かけようって思った。このまま家にいるのが怖いって」

「……それは?」

 何故と理由を聞きたくて若干前のめりになる。