グレーな彼女と僕のブルー

 二人の好意に甘え、そのまま話をする流れになった。フロアを出た外の休憩場所まで蓮田さんに付いて移動した。

「それで……えぇと。坂下くん? は、私に何を聞きたいの?」

 僕をどう呼んでいいのか少し迷った素振りで蓮田さんが切り出した。明らかに年下である僕に敬語を使わなくなったので、かえって話しやすくなった。

 自動販売機の横に置かれたベンチに座り、どうぞと隣りを勧められた。

 一応小さく会釈してから、三十センチほど間隔を空けて腰を落ち着けた。

「あの。火事、当日なんですけど……蓮田さんが帰宅してからのお話を聞きたいんです」

「……え」

 何故そんなことを聞くんだろう、蓮田さんの目がそう物語る。僕は言葉を足した。

「近所のおばさんに先に話を聞いてきて……蓮田さんは四時半頃に帰宅して、いつもそのまま家にいるんですよね? でも、火事があったあの日は外出されていたと聞いて。何か……あったのかなって」

 蓮田さんは眉根を寄せて首を捻った。

「それ、なに? 学校の課題か何か? 何でそんな刑事みたいなこと聞くの?」

「……えっと」