グレーな彼女と僕のブルー

 ガクンと膝が落ちそうになるのをすんでで堪えて、ゴールまでの半周をありったけの力を振り絞って駆け抜ける。

 汗なのか涙なのか分からない雫が頬を流れる。乱れきった呼吸で耳も少しだけ痛い。

 既に一番でゴールしている先輩はゆっくりと歩きながら、腕を空に向けて伸ばしていた。

 ハァハァ、と酸素をふんだんに取り込みながら何とかゴールを切った。

 その安心感から減速してウォーキングに変えると、体中のありとあらゆる汗腺からぶわっと汗が吹き出した。

 ち、くしょ……っ。

 全く追い付けなかった。

 両手を腰に当てる。横っ腹が痛い、苦しい。

「おーい、恭介ー」

 少しして誠もゴールしたらしく、ダラダラと歩く僕に追いついた。

「おまえ、何だよあのスピードは。途中倒れるんじゃないかって心配したぞー?」

「っはぁ、あぁ……誠か」

 顎を手で拭いながら呼吸を整え、誠を見る。ふいに誠がプッ、と吹き出した。

「おまえ、タコみたいに真っ赤だぞー」

「っはぁ、うるさい……」

 幾分、呼吸が落ち着いたところで立ち止まり、そのまま誠とグラウンドに腰を下ろした。

 あぁ、くそ。あちー。

「おい、坂下」