グレーな彼女と僕のブルー

「寂しくなるね」と紗里が弱々しく笑い、大和を慰めた。

 そんな二人と僕を見て、母が申し訳なさそうに微笑んだ。

「ごめんね、恭介。あんたのことを振り回して」

 ……母さん。

「せっかく紗里ちゃんや大和くんとも仲良くやってたのにね」

「………あ、うん」

「家は近いし、また遊びには来れるからね」

 母はそう続け、寂しがる大和と紗里にどのあたりの場所かを説明し、「遊びに来てね」と伝えていた。


 *

 土曜日。

 六時半にセットしたアラームが鳴る前に目が覚めた。布団から起き出し、部屋の窓を開ける。

 冷んやりと湿った空気が顔に当たり、小さく深呼吸する。色素の薄い水色の空には小さく細かい雲が点々と張り付いていた。

 今日も良い天気になりそうだ。

 窓を閉めて、今しがた寝ていた布団を上げる。四つ折りにした掛け布団と枕を置いたとき、コンコンと扉がノックされた。反射的に「はい」と返事をする。

 返事をしなくても開けられるだろうが、予想どおりの速さで紗里が扉を開けた。

「恭ちゃん、お誕生日おめでとう!」