みんなの反応は以前誠が取ったものとほぼ一致していた。

「恭介クン、これはいったいどういうことだ? んん?」

「まさかおまえ、赤城さんと付き合ってんのか??」

 いつの間にか壁ドン状態で凄まれていた。

 彼らがなんとなく殺気立っているような気がして、言葉がしどろもどろになる。

「えと、そんなんじゃなくて。いったん落ち着いて、話を……」

「なんか恭ちゃん、お取り込み中みたいだね。またあとで来るね」

 そう言って紗里は僕に向かって微笑み、何事もなかったかのように去って行く。

 いや、空気!! 読むだろ、普通!

 紗里の耳にもあの噂は入っているはずなのに、何故に気にせず話しかけてくるのか。

 あいつに空気を読むという能力は備わっていないのか?

「ほらほら、今のふたり」

「マジで一緒に住んでるの?」

「そうみたい。なんかヤバいよね〜」

「うんうん、もう付き合ってたりして〜」

「あはは、あり得る〜」

 僕を取り囲むクラスの連中とは別に、他クラスの女子が聞こえよがしに軽く爆弾を投下して行く。

「きょぉすけ〜……」

 僕に詰め寄る何人かは既に半泣きだった。

 おいおい。

 まさかこいつら全員紗里のこと……。