グレーな彼女と僕のブルー

「あ、でも。古賀先輩とは友達で付き合ってないって聞いたけど」

「……あ〜、そうなんだ?」

 元カレだったという情報は敢えて伏せてしまったのだが、誠の返答はあっさりしたもので僕は言葉に窮した。もっと食い気味にせっつかれると思ったからだ。

「恭介さ、引っ越しはまだなんだよな?」

「あぁ……うん。早くしたいとは思ってるんだけどな」

 本当に……?

 途端に表情が固まった。無意識に自問自答していた。

 自分で言っておいて自分に問いかけるなんて、滑稽だ。僕は眉を寄せて、曖昧に首を捻った。

「こう見えて俺はさ。けっこうおまえのことは好きなんだぜ」

 ……は?

「なんだよ、いきなり。気持ちわりぃ奴だな」

「ははっ、だな?」

 誠は彼らしい笑みでニカっと笑い、お弁当の残りを掻っ込んだ。

 昼休み残り十分を切るとともに教室に戻った。

「あ! 恭介、恭介!」

 ……ん?

 クラスの男子女子ともに、より集まった数人が、僕を見るなり駆け寄ってきた。

「なぁ、恭介。さっき二年の先輩に聞いたんだけどさ、おまえ三組の赤城さんちに住んでるって本当か!?」

 え。

 途端に表情が固まった。

 きっとみんな気付いただろう。僕の反応が図星であることを。


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