どれほど眠っていたのか、昨日何があったのか、鈴香がゆっくりと思い出していると、誰かに顔を覗き込まれる。それは、鈴香に錠剤を飲ませたラズだった。

「やっと薬の効果が切れたんだね、おはよう!」

ラズの姿を見た刹那、鈴香の中で一気に恐怖が蘇ってくる。この人は危険だと本能が警告し、触れようと伸ばされたラズの手を振り払い、鈴香は重い体を起こして逃げようとした。しかしーーー。

ジャラッ、と嫌な音が響いた。鈴香が足元を見れば、自分の足は逃がさないと言わんばかりに頑丈な足枷が嵌められている。鎖はベッドに固定されており、お嬢様のような豪華なこの部屋の中なら自由に移動できるだろうが、外に出ることは不可能な長さだ。

「何で、こんなこと……」

体を震わせ、鈴香はその場に力なく崩れ落ちる。すると、背後から優しく抱き締められた。いつ部屋に入ったのか、ラリマーが「大丈夫だよ」と言いながら頭を撫でてくる。

「俺とラズがいるんだから、寂しくなんかない。ここでたくさん愛してあげるから」