夏が近づいてきている6月。
私はいつも通り家を出て、いつも通りの道を歩く、中学校に入学してからずっと変わらないこと。

「おはよう」
挨拶をしながら教室に入ると、先程までの暑苦しさはなくなり、冷房の効いた涼しい空間に変わる。6月とはいえど暑がるのは皆同じらしい。

「彩乃、おはよう!」「おはよう。」
クラスメイトが次々と挨拶をしてくれる。
私はそれに笑顔で返していき、準備を済ませる。

今日も暑い、本格的な夏が始まっていないのにこんなに暑いのはまるで、1人の幼なじみを思い出させるかのような不快感があった。

静かで、大人しくて、私とは正反対の幼なじみ。
中学校に入ってから話すことが少なくなり、今は挨拶すらもしなくなっていった。

このまま、話さないで中学校生活が終わり、高校に入学して、大人になっていくのだろうか。
そう考えながら、教室に入ってきた先生に集中する。