「真! そろそろ出るみたい」

「そうか……。せっかく来てくれたのに、俺が忙しくなって悪かったな」

「忙しくて何よりでしょ。
……ねぇ、私は明日予定がないの。
こっちに泊まろうか? 
明日一人で帰ればいいし」

「泉……」

そう言った真が、私のタートルネックに指を掛けてきた。
少し引っ張られて首がスッとする。

「あーあ。やっぱり……」

「ちょ、ちょっと真っ!!」

絶対にアレが見えたはず。

「それをすると誰かさんが拗ねるって、わかってるんだろ?」

「う……まぁ、そうなんだけど…」

実の兄を牽制するくらいの恋人だ。
親友の真には全てお見通しだったみたい。

「でも、真……」

思わず真に近寄って、顔を覗き込む。

大丈夫なの?