「ここが真のいる店舗だ」

父が案内してくれたのは、久屋大通公園に面した大規模商業施設の路面店で、朝倉コーヒーを代表する大型店舗だった。

ナチュラルな木を大胆にあしらったガラス張りの明るい外観が、カフェというよりは、図書館や博物館などの公共施設を思わせる。ビルの1階にも関わらず、かなりの高さがあるからだろう。
反射したガラスを覗き込むと、中は広々と明るく、沢山の人が憩いの時を過ごしているのがわかる。

「すごい……。毎日でも通いたくなるようなカフェね」

と母が言うと、

「ああ。ここは社長が高名な建築家にお願いして、やっと完成した店舗なんだ」

と父が誇らしげに言う。

私でも知っている建築家の名前を聞き、改めてこの店舗が朝倉コーヒーの新たな旗艦店なのだと思った。