実際、1つ年上の従兄の優は、長年想いを寄せていた、小児科の藤田先生の娘、美衣子(みいこ)と入学式の日から付き合いだした。ちゃんと優から告白したらしい。

京にとっても、優は従兄なんだから、知っているだろうに。

まあでも、あっちは背が高くて、優しくて、ピアノも弾ける完璧王子。外見はそっくり(京の方がタレ目だけど)なのに、こっちは残念王子だからなぁ。
フィギュア製作が悪いわけではないが、頑張る方向性を間違えている。

泉が誰かのものになるなんてイヤだけど、俺の目の届く範囲にいるなら我慢もできる。
長い年月をかけて、そこまでは許容できるようになった。

それに、誰と付き合おうと、家に帰れば俺のものなんだから。
京が相手なら、俺が一緒に居ても問題ないだろう。これまでずっと3人で過ごしてきたんだ。邪険にされることもないはず。

コイツしかいないのに。
しっかりしろよ。
ちゃんと本物を見ろよ。

しかし盛大に勘違いして、双子戦士シンの完成予想図をスケッチし始めている京を見て、深々とため息を吐く。

嬉々としてスケッチしている京の後ろに、パタパタと忙しなく動く尻尾が見えたような気がした。