「…しん〜〜〜」

「泉⁉︎ な、なんだよ? 
お前、泣いてるのか?」

「うぅ〜〜…」

なんかもう……前にも後ろにも進めない感じがして、涙が出てきた。

京のことは好き。
でも里佳子に言ったことは、もう取り戻せない。きっともう、明日には学年の半分くらいが、許嫁のことを知るだろう。
だから私達は………

「……真、ぎゅーっとして」

「…どうした? 何があった?」

真がぎゅっと抱きしめてくれる。
真の腕の中は私の1番落ち着く場所。
母の胎内にいる時から、ずっとずっと、ここが1番落ち着く場所なのだ。