「真、ちょっといい? 」

レジデンスを出て、ヘブンリーゲートブリッジホテルにたどり着いた時には、もう22時になっていた。

あれから花ちゃんの旦那様の親族が来られて、仁伯父様が「よし! 飲もう! 」と言い出して、大広間は大宴会場に変わり果ててしまったのだ。

アルコールに弱い父が、花ちゃんの義父に勧められるがまま飲んでしまい、大騒ぎに。
結局寝てしまった父が起きるまで待つことになり、この時間になったのだ。

ホテルの部屋割りは、当然真と宣、私と環だ。

だから私達はホテルの入っているタワーの隣にある、チャペルのベンチで話すことにした。
明日はここで花ちゃんのお式があるはずだ。

「真も飲んでたけど、大丈夫なの? 」

「父さんと一緒にしないでくれ。俺はあそこまで弱くないぞ」

「フフフ、お父さん、安定して飲めなかったわね」

「ああ。あれだけ弱くても社会人やってられるのが不思議だよ」