すると、何故か撫子が縦型の大きなディスプレイに向かって、手を挙げたり下ろしたりして遊んでいた。
一体何をしているのか……。

「あ、京! お疲れ様〜」

「お疲れ。何してるんだ? 」

「バーチャルで打掛けが着れるの。
ほら、ここに立ってみて」

俺が撫子のいた場所話に立つと、なんとディスプレイには真っ赤な打掛けを着た俺が映った。

「うわっ! 」

「お! 京、美人だなぁ」

「色白タレ目美女か。
似合ってるぞー」

「やめてください」

色白はいいとして、タレ目を強調するなよな。

「これ面白いなぁ!
新郎用もあるの? 」

「はい。もちろんございますよ」

「俺、11月に式を挙げるんだ」

「まぁ! それはおめでとうございます! 」

そう言えば山根さん、プロポーズしたってこの前言ってたな。

「彼女がさ、住吉大社で式を挙げたいって言ってるんだ」

「住吉大社! 素敵だわ。
あちらでしたら、映えるお写真がたくさん撮れますよ」

「……太鼓橋に登るのか?
着物で登れるのか?」

思わず疑問に思った事を口に出してしまった。
めちゃくちゃ急な階段になってるのに?