「真くん。私はもう、桜川花なの。
桜川の家内として、桜川の跡継ぎを育てるのが今の私の役目。朝倉コーヒーは継げないわ。
それに、私に数字を追う経営も無理よ。
真くんが継いでくれるのが私の望みでもある。
あ、でもね、A terraceの運営はさせてもらうけど。これは私の生き甲斐なの。
私は、子育てをしながら、ここで生きていくから。出来るのはA terrace のことだけよ。
……だからね、朝倉コーヒーをお願いね?」

「花……」

まさか皆んな、そんな風に言ってくれるなんて……。
あ、やばい、涙腺が……。
俺…俺は………。

「俺………やるよ。
俺に出来ることをやる」

伯父の言葉が嬉しかった。
祖父も、父も、花も、宣までもが、俺を認めてくれている。

やっと気づいた。
殻に閉じこもっていたのは俺だ。
俺を信じられなかったのは俺自身だった。
周りは皆んな、ちゃんと見ていてくれたのに。
勝手に劣等感に押し潰されそうになってた。
心を開けてなかったのは俺自身だったんだ。

変わりたい。
伯父の期待に応えたい。
皆んなの期待に応えられる人間になりたい。


俺は………変わる。