「宣! じいちゃんの工房を継いでくれるのか! 嬉しいなぁ〜。
宣のためにも、長生きしないとなぁ」

じいさんが喜んでいる。
宣が工房の後継者?
俺よりずっとコーヒーを知っているのに?
いや、だからか。だから工房か……。
でも宣、いいのか?

「そういうわけだから、朝倉コーヒーには真が必要だ。俺もこの際だからはっきり言うよ。
経営を任せられるのは真しかいない。
花には家庭がある。経営にも向いてない。
朝倉コーヒーの跡継ぎは真だよ」

伯父がはっきりと告げた。
俺が跡継ぎ……。
心臓がバクバクする。

「伯父さん……本当に? 俺でいいの?」

「真がいいんだ。蓮、お前も異論はないな?」

「……ああ。俺も真がいないと困るな。
でも兄さん……ありがとう」

「よし。じいちゃんは?」

「真が跡継ぎだ。朝倉コーヒーをいずれ任せるよ。
嬉しいなぁ。ただの街のコーヒー屋がこんなに大きくなって、それを孫の真が継いでくれるんだからな。こんなに嬉しいことはないぞ!」

「よし。じゃあ、花は?」