「仁伯父さん……。
俺、俺……そんな風に言ってくれるとは思ってなくて……」

まさか伯父さんがそんなに風に考えていてくれたなんて……。
頭が混乱する。
天から与えられたギフト?
俺が大事?
こんなに無力なのに?
まさか……。

「兄ちゃん、俺もさ、兄ちゃんには感謝してるよ。何もしないでも、俺の資産増えていって、お陰で俺、研究に好きなだけ注ぎ込める」

宣……。

「この際だから、ハッキリ言っておくけど、俺は朝倉コーヒーの経営には全く興味ないよ。
俺が継ぎたいと思ってるのは、じいちゃんの工房だから。だって俺、農学部だよ?
大学院にも行くつもりだし。
コーヒーは大好きだ。
でも俺の興味は、コーヒーそのものにあるんだ。コーヒーを研究して、極めたいと思ってる。
それがいずれ何かの商品化になるかもしれないし、開発の面で朝倉コーヒーに貢献で出来たらと思ってる。
……だからさ、俺は跡継ぎにはなれないから」