この場を脱出しようと思ったのに、間に合わなかった……。

やだ。この先を聞きたくない!

「…あー。えーっと……」

きっと私の方に視線を送って助けを求めているのだろう。
でも私は2人を見ていたくなくて、ずっと横を向いていた。

「京くん、彼女いないんでしょう?
そんな話聞かないもん 。
泉にさっき聞いたら、泉とも付き合ってないって言ったし」

「え……いや…まぁ……」

「ね、いいじゃん。付き合ってよ」

「………森の気持ちは嬉しいけど、俺、親が決めた許嫁がいるんだ。
だから付き合えない」

許嫁⁉︎
生まれた時から一緒にいるのに、初めて聞いた…。京、何言ってるの?

思わず顔を上げて京を見つめる。

一瞬、視線が重なり、あからさまに外された。

申し訳なさそうに里佳子を見る京。