2人のオーダーを通したあと、レジカウンターを代わってもらい、後を追いかけた。

「達矢さん、今日ちょっと話せませんか? 」

「え?…あ、ああ。
今からまだ仕事に戻らないといけないんだ」

「もちろん俺も仕事中です。
今日は早番なので18時には上がれます。
何時でも構いません。
……撫子に最近会われましたか?
とても放っておけるような状況じゃありません」

「……わかった。こちらもそれくらいの時間には上がれそうだから、終わったら連絡するよ」

はっきりさせてもらおう。
この店に亜希さんを連れてきたんだ。
説明義務ってものがあるだろう。

「あの……今、撫子って……。
ひょっとしてナコちゃんのこと? 」

「あ、いや……」

こいつ……
今のこの一瞬で全てがわかった。
この男はまだ何も解決出来ていない。
亜希さんは撫子が巻き添えを食って、窮地に立たされていることを知らない。
いや、亜希さんだけじゃない。
もしかしたら達矢さんも、現状を軽く見てるんじゃないか?
だとしたらとんでもない間違いだ。