「次に来た時、聞いてみるよ。
そろそろ決着をつけてもらわないとな……」

「うん……」

「……帰るぞ」

「はーい。
……あ、ねえねえ、久しぶりに泉に会ったのよ。それがね、京の担当してるプロジェクトのことでね……」

帰り道、嫌がらせにあってることなど全く態度に出さず、泉と会った時の話を楽しそうに語ってくれた。

京のプロジェクトが動き出したこと。

泉が影で応援していること。

桐野屋とのコラボが実現しそうなこと。

どうやら京にとって、後継者への最初のミッションが始まったようだ。

泉がそれを手伝っているのか……。

俺も、今後のことを考えないとな……。

「今からね、すっごく楽しみなんだ!
夏のブライダルフェスティバル! 」

いつでも前向きな撫子は、一見強い女に見える。性格もサバサバしていて、深く物事にこだわらないように見える。

でも実際は気遣いの塊みたいなやつ。

俺はそんな撫子を守りたいんだ。
この笑顔を守りたい。

ずっと俺のそばで……。