「あの…私で務まりますでしょうか……
まだ1年目なんですが……」

「大丈夫よー。仕事は私が教える。
泉ちゃんならすぐに覚えるわ。
それに、あなたは店舗でも広報でも勤務態度が真面目で頭の回転も早くて、周りの評価も高かった。語学も堪能だし、私の方こそ頼りにしてるのよ？」

「そ、そんな！　勿体ないです！」

私の入社はいわゆるコネ入社。

常務の姪で、朝倉コーヒーの娘だということが根底にあって、全てが特別待遇だということは分かっている。

だから勿体ないくらいの評価なのだ。

「プレッシャーをかけるわけじゃないんだけど、でも楽しみにしているのよ？　
泉ちゃんを育てるの。
蓮くんからも頼まれているからね」

「…承知いたしました。
私でお役に立てるかわかりませんが、精一杯務めさせいただきます」