朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜

ピンクの服を着ているからかろうじて女の子とわかる、頭がツルツルの赤ちゃんが、コロンコロン転がって、スタッと四つん這いになる。

そしてもう次のステップに進もうとしているのか、前後に勢いをつけて、今にも前に進み出しそうだ。

それにしてもこの赤ちゃん、目がマジだ。
普段はのほほんとしているのに、やる時はヤル男、太一のたまに見る鋭い目付きにそっくりじゃないか。
本当に血の繋がった娘なんだなぁ…としみじみ思う。

「な? 天使だろ?」

え。この目付きで天使!?

「あ、うん。可愛いな……」

咄嗟にちゃんと可愛いと言えた俺を、誰か褒めてくれ!

太一は寝返りの天才だという娘を自慢できて満足そうだ。親バカの相手をしているほど暇じゃない。さっきみたいに口うるさく言われないうちに退散しよう。

仕事は10分もあれば片付くだろう。
その後は、ブライダルフェスティバルの案を練らないと…

「じゃあ戻るわ」

そう言って、エレベーターホールに向かった。

「京! 」

「え……」

泉が追いかけてきた。

「定時すぎたけど、まだ仕事? 」

「あ、ああ……」

実際に残っている仕事は大した量じゃない。

「今日、帰りに寄ってもいい? 」

「……あ……」

こんな時に限って泉からのお誘い……
どうしようか……