「それも誤解です。
……姫依さん、この場でそのような振る舞いは相応しくない。話なら日を改めましょう」

「…いいわ。じゃあ必ず連絡して?
約束よ。ね? 達矢さん」
姫依さんが、甘えるようなとても綺麗な笑顔で、さらに腕を引き寄せる。その手をやんわりと離しながら、困った顔で了承する達矢さん。

約束を取り付けたからか、あっさりと引き下がり、姫依さんは会場内に戻って行った。

「……ハァ…申し訳ない。
ナコちゃんもごめん」

「笹木さん、とりあえず出ましょう。
ここに長居するのは良くない」

疲れきったような達矢さんを、京がフォローする。
私達は苦い思いを味わいながら、葬儀場を後にした。