うちの父は、母さえいれば息子はどうでもいいらしい。
愛妻家が子煩悩か?と言われたら、それはNOだ。
昔から可愛がってくれなかったわけではない。愛情込めて育ててくれたと思ってる。
ひとりっ子だから、父の趣味にも散々付き合わされたし。

でも、常に父親の1番は母。
そして、母もやっぱり父が1番なのだ。

俺は家族の中でも一番じゃなくて、最愛の人、泉にとっても、やっぱり1番じゃないんだ。

…昔からわかっていたことだけど。

「け〜い〜。拗ねないでよ〜」

「……これが拗ねないでいられるか?
真、真、って。泉の1番はいつも真なんだぞ!」

子供っぽいと思われても、ここはハッキリ意思表示して、拗ねさせてもらう!

「そんなことないよー。
もう〜。口尖らせちゃって。
だから、一緒に行こうって。
京なら、皆んな気を遣わないし……」