朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜

シャワーから上がると、ソファには先客がいた。撫子がピンクのコートを毛布代わりに、丸まって寝ていたのだ。

「おい! 撫子!
ベッドで寝ろよ」

こんな所で丸まって寝ていたら風邪をひく。
ホテルを取った意味がないだろう。

「撫子?」

揺すっても起きる気配がない。

俺は何だか猛烈に腹が立ってきた。

今日、こいつがこんなところで丸まって寝ているのは何故だ?

全部、泉と京のせいだ。

どうしてあの2人のために、撫子がこんな窮屈な思いをしなければならないんだ。

スイーツが食べたいって言っていたのに、酒に付き合ってくれた。
俺のために。

撫子には何一つ非がない。
俺達双子に振り回されているだけだ。

怒りが収まらないまま、撫子を抱き上げた。

せめてベッドでゆっくり寝て欲しい。

もし明日予定がなければ、撫子が行きたがっていた、このホテルのランチに連れて行ってやろう。予約が取れたらの話だが。

宿泊客の方が予約は取りやすいはずだ。
きっと入れるだろう。