それ以上の会話をする事なく家の前に到着し
『ありがとう』と一言お礼を伝えると
目を合わせないまま車を降りた。

「私は戻りますが
 本当に大丈夫ですか?」

運転席の窓を開けて
また心配の言葉を掛けてくれる燈冴くんの優しさに
胸が詰まる。


大丈夫なわけがない。
そんな風に気にかけられたら
心が、苦しくなるだけーーー





「もう…
 どうしたらいいのかわかんないや…」

部屋に戻るなり
わたしはそのままベッドに仰向けに倒れ込んで
『はぁー…』と深く溜め息を吐いた。

こんなにも独りになりたいと思うなんて
今までで初めて。

燈冴くんの事を考えるキッカケになった元宮さん。
彼女は凄いな。
一目惚れから始まった『好き』が
“恋”だと、自分の気持ちに真っ直ぐで
その想いから相手を考えて
『自由にして』って出たんだと思う。

もしかしたら彼の事を1番に理解してあげられるのは、あの人なのかもしれない。


何が1番、幸せか

家族《《みたいな》》わたし達だけど
本物の家族じゃない。

奪う、わたしと
救う、彼女。


燈冴くんの自由って?ーーーーーー