余程ホッとしたのか
それ以上『私のせいで…』とは言われず
けれど、彼女の話はこれで終わりではなかったーーーーー
「”上司”と言われていたあの方
本当は漣社長様の秘書なんですよね?」
「あー…う、うん…」
話題の中心が燈冴くんから離れない。
それどころか支店からそこまでも聞いていた事に更に唖然とさせられた。
燈冴くんから口止めされて隠していたけれど
それも意味がなくなってしまったわけで
白状するしかないと腹を括った。
「とう…じゃなくて真白さんは
確かにわたしの父の秘書で間違いないです。
あの日は出張で支店に同行してもらっていました」
「そうだったんですね。
どおりでお2人、他の方々と違うなと思いました。
オーラが違いましたもん」
オーラ・・・
なんですか、それは。
視えるんですか、色が。
「あの方…真白さんって仰るんですね…
とてもカッコいい人です…」
恍惚と、はにかんだように微笑む彼女は
まるで心惹かれて恋をする乙女。
そんな元宮さんに『そうですか』と適当な返事しか返せずにいた。
「今日は、こちらにいますか?真白さん」
「え?」
「私、彼にもう1度お会いしたいんです!
お詫びも兼ねて!」
何か良からぬ方向に進んでいるのは
たぶん気のせいじゃない。



