無彩色なキミに恋をして。


かれこれ数時間は経っているのに
どうしてまだ着替えてないの?
それほど忙しかった?

それとも…

「本当なら着替えてシャワーも浴びたいところなんですが…少々痛みが続いていまして…」

傷めた右肩を摩りながら
どこか辛そうな表情をしているから
それですぐにピンときた。

「着替え!大変なら手伝おうか!?」

「え…?」

「え・・・」

目を少し大きく開いて驚く燈冴くんを見て
わたしも自分が何を言ったのか、思い出して固まった。

着替えを手伝うって…
今わたしは、そう言っちゃったよね。
間違いなく今
とんでもない爆弾発言してしまった…よね。

「えぇぇっとッ
 そ、そのッ!変な意味じゃなくてッ
 それは、あのッ、」

動揺が隠せない。
アタフタして何を言っているのか頭の中が真っ白になる中
当の本人は困惑した様子など微塵も見せず
それどころか…

「では、お言葉に甘えましょうか」

「…へ?」

さくっと受け入れられてしまった…

そ、それで良いんだよ。
大丈夫、大丈夫。
着替えを手伝うだけなんだから。

何度も自分に言い聞かせていると
彼がそれに気付いたみたい。

「ですが…気持ちだけで十分ですよ」

「え…」

「こんな時間に緋奈星さまを男の部屋に入れるなんて…
 さすがに、です」
 
苦笑が続く彼の表情に
わたしは自分がバカだと思った。