広い部屋で1人になったわたしは
運んでもらったキャリーケースから洋服を取り出して
お風呂の準備を始めた。
と言っても、浴槽のお湯は時間指定の設定なのか
すでに張られていて湯気が立っている。
タオルの用意までしっかり…。
「やっぱり落ち着かないな…」
20時をまわった外はもうほとんど暗くて
街中の灯りがイルミネーションのように光り輝き、まさに絶景。
だからってオープンなバスルームもどうかと思うけど…。
少し熱めのお湯が張る浴槽に浸かり
夜景を見ながら今日の出来事を思い返す。
病院に付き添う際に別れた元宮さんとは
連絡先も知らないから、それっきり会ってない。
彼女の怪我も気になるところだけど
今はやっぱり燈冴くんの事が心配で仕方なかった。
「怪我、大丈夫なのかな…」
お風呂を終えて髪を乾かしている間に
部屋のチャイムが鳴り、ルームサービスが届くが…
持ってきてくれたのはホテルのバトラーで
燈冴くんではなかった。
まぁ…それもそっか。
あくまで彼はココでは”客側”なわけだし。
「でもなんだろ。
なんか気になる…」
嫌な胸騒ぎを覚えたわたしは
夕食を済ませた後
教えてもらった燈冴くんの部屋に行ってみる事にした。



