わたしが泊まる部屋は
最上階のスウィートルーム。
さすが高級ホテル、と圧倒される豪華さと広さ。
落ち着いたモダンのインテリアに
浴槽はビューバスだから絶景が一望出来る。
それはまぁ別としても・・・
「なにもこんな広い部屋じゃなくても良いのに…」
確かに『こだわらないからどこでも良い』とは言ったけれど…
それでどうして“スウィートルーム”なの?
「緋奈星さまのご自宅のお部屋と
さほど変わりはないかと。
同じくらいじゃありませんか?」
「全然違います」
なんの冗談よ。
こんな広大な部屋だったら
毎日落ち着かないって。
「お荷物はベッドの横に置いておきますね。
食事はルームサービスなので
後ほどお部屋にお持ちします。
私の部屋の場所も伝えておきますので
困ったことがありましたら何なりと御用命ください」
燈冴くんはペラペラとスムーズに説明してくれるけど、彼がまるでここのコンシェルジュみたいに見える。
”執事”として
いつも通りの仕事をしているだけなんだろうけど。
職業柄、こういうときでも自然と動いてしまうのかもしれない。
「雨に濡れて風邪をひくといけませんので
夕食をお持ちするまでの間
先に体を温めてください」
「うん。
燈冴くんもね?」
わたしの言葉に
ニコリと優しく微笑んだ燈冴くん。
一通りの説明を終え、部屋の入口で別れた。



