そこまでするほどの怪我だったんだって
すぐにわかるほど。
「思い切り地面に叩きつけてしまったみたいで
肩を脱臼してしまいました」
「脱臼…って…
えッ!?」
想像以上の症状に驚きを隠せない。
確かにあの時
目で見てわかるくらい凄い衝撃だったけど
本当にそんなに酷かったなんて…
「間一髪、あの人を助けられたのは良かったんですが…雨で濡れた足元に気を取られてしまい受け身が取れなかった…なんて。情けないですよね」
そう言って恥ずかしそうに苦笑いを浮かべているけれど、そういう問題じゃない。
「なんでそんな危ないこと…」
「緋奈星さま?」
「相手はトラックだよ!?
あのままもしかしたら
燈冴くんまで轢かれていたかもしれない!」
感情が昂ってしまい
ぶわっと涙が溢れて目の前が霞んでいく。
元はと言えばわたしのせいでこんな事になったのに。
わたしの軽率な行動で燈冴くんに怪我を負わせてしまった。
それも利き腕をッ
「泣かないで…緋奈星さま。
この程度で済んだのだから
良かったくらいですよ」
「良くないッ!
ごめん燈冴くん…ごめんなさいッ」
良いはず、ない。
わたしは最低だ…
俯き、両手で顔を覆い
止まらない涙に声を殺して泣いた。
すると…
燈冴くんの優しい手で
頭を撫でられる感覚と優しい声が。



