無彩色なキミに恋をして。


「後の処理は私が引き受けます。
 ひとまず貴女は病院に行ってください。
 緋奈星さまも先にホテルへ戻って。」

「え…でも…燈冴くん、怪我…」

「私の事は良いです。
 それよりもこのままでは緋奈星さまの体が冷えてしまいます。その方が困ります」

こんな時でも
彼は自分の事を後回しにする。

右腕を全く動かさず
怪我している事を悟られないようにしているのは
何もなくこの場を収めたいと思っているから。


気持ちはわかるけど…
このまま放っておくなんて
わたしの方が出来ない。


「一緒に燈冴くんも病院に行こ?」

「ですから私はーー」

「お願いだから。
 わたしの為にも言う事を聞いて」

正面に立ちジッと目を見つめて拒否する言葉を遮ると、彼は観念したように溜め息を吐き、わたしと共に迎えの車に乗り込み近くの病院へと向かった。

到着した時には燈冴くんの顔色が優れなく
時折見せる苦痛の表情で、痛みが増しているのがわかる。

看護師さんに連れられて
処置室へと入る燈冴くんを
わたしは廊下に椅子に座って待つ事に。

父にも報告のメールを入れたけれど…
絶対怒られるな…



しばらくし処置が終わって出てきた燈冴くん。
地面で擦れてボロボロになってしまったスーツの上着は脱いでいて、ワイシャツの上から三角巾で右腕が固定されている。