無彩色なキミに恋をして。


同日、午後の事。
会社に顔を出さないといけないわたしは
隣にしっかり、
まるでボディガードのように燈冴くんが同伴し
遅めの出社をしたけれど――――


「またアナタですか」

「それはこちらの台詞です」

一触即発。
その言葉がピッタリなくらい
顔を合わせた2人の相性は本当に悪く
まさに”犬猿の仲”

「申し訳ないですが
 僕は仕事の話で緋奈星さんに用事があるんです」

「申し訳ありませんが
 ここからは秘書である私の仕事です」

言葉遣いは優しくても
お互い一歩も譲らないあたり
もうほとんど意地の張り合いにしか聞こえない。

燈冴くんが鮎沢さんに対して喧嘩腰な理由は
さっき聞いたから少しわかったとして…
どうして鮎沢さんまでピリピリしているんだろ。
これじゃ何かとやりづらいよ・・・

それも2人の業務場所は基本”社長室”だし。

「鮎沢様は別の仕事をしていて結構ですけど」

「真白さんこそ
 しばらくお休みだった間の社長の仕事内容は
 把握されていないのでは?」

「余計なご心配はご無用です。
 貴方よりも長いこと御遣いしていますので
 だいたいが把握できれば、すぐに対応できます」

目も合わせず地味に競り合っていて
聞いてるこっちの息が詰まりそう。

そんなにお互い、噛みつかないでよ…