無彩色なキミに恋をして。


もちろんこれは燈冴くんのせいじゃないけれど
気にしないで…なんて軽はずみなことは言えない。

わたしが逆の立場でも絶対責任感じるもん。


「これは相手側の身勝手な意向みたいだから
 父ももう1度、向こうと話をしてみるって言ってた」

なんのフォローにもならない返事しか出来ないもどかしさに、わたしも気持ちが沈む。

「どうするべきか
 私も社長と改めて話をさせてもらいます。
 それによっては自身の進退も考えないといけませんし
 それに何よりも…」

「と、燈冴くん…?」

眉間に皺を寄せ厳しい表情でわたしを見つめ…

「緋奈星さまを渡したくない」

迷いのないハッキリとした言葉に
思わずまたドキッとしてしまい、照れて顔が熱くなった。

好きってなってから
今まで言われなかった言葉を惜しげもなく言われると
全然…心の準備が間に合わないよ…

「それにあの男の態度と、物言い
 どうにも《《いけ好かない》》」

「え…」

「勝手に婚約者だとか名乗って。
 絶対に緋奈星さまに指1本触れさせない」

「あ、、ありがとう…」

「だから貴女も
 くれぐれも俺から離れないように。」

「あ、、はい…そうします…」

彼、意外と独占欲があったんだなって
このとき初めて知った。

呑気なこと言ってる場合じゃないんだろうけど…
結構嬉しい…かも。