「緋奈星さま?」
「ごめ…ッ」
燈冴くんが本当に帰ってきたんだ…
改めて感じたら
思わず涙が零れて食べる手が止まってしまった。
長いあいだ離れ離れだったわけじゃないのに
こんなにもこの時間が尊いなんて。
その想いが言葉になって
次々と溢れてくる。
「逢いたかった、燈冴くんに。
だからありがとう…帰ってきてくれて」
「緋奈星さま…」
「寂しかった…ずっと―――」
そう言った瞬間、後ろから
そっと…ぎゅっと抱きしめてくれるその腕に、ドクンと心臓が高鳴る。
「とうご、くん…?」
「俺も…逢いたくて、仕方なかった。
ずっと前から…こうしたかった」
肩越しに耳を掠める燈冴くんの苦し気げな声と抱きしめてくれる力。
どうしよ…ドキドキして死にそう…
でも幸せ。
逢いたかった人に逢えたんだから。
わたしもまた彼の腕を抱きしめるように掴んで
ゆっくりと少しだけ顔を上げた。
目が合った燈冴くんも泣きそうな顔していて
こんな時でもやっぱり彼は綺麗…
そんな表情を見てまた涙が溢れる。
「好きだよ、燈冴くん―――」
小さく呟くその声が
消える一瞬に近付く唇の距離。
わたし達は
2度目のキスを交わした。
さっきも今も
このキスは涙の味。
でも2回とも
たくさんの愛が詰まってる。
燈冴くんからの好きが伝わる。



