口調の変わった言葉に
わたしは最後に涙を拭って、彼を見上げるように顔を上げた。
そこには、さっきまでの複雑な表情ではなく
ちゃんと戻ってきた、《《いつもの》》燈冴くんがいる。
不思議だけど
それだけで心がホッとした。
「泣かせるつもりで戻ってきたんじゃないのに…
こんな話で苦しめてしまって…すみません。
父親との事はすぐに解決、とはいかないかもしれませんが出来る限り努力はしてみます。
緋奈星さまのためにも…」
「うん…」
「だからこれ以上、泣かないでください…」
彼はそう言ってわたしの頬に右手を添え
伝う涙を指で拭ってくれるから思わずドキッと心臓が跳ねる。
いつもは手袋をしているけれど
今日は優しく温かい指先。
久しぶりに燈冴くんの体温だ…
「俺は…貴女に逢いたかった」
「燈冴くん…」
「毎日、緋奈星さまの事を思い出し
逢いたいと気持ちが募り『今なにをしているんだろう』と気になってばかり。
1秒でも早く顔を見たくて、声を聞きたくて
触れたかった…」
「うん…」
光が戻ってきたその瞳があまりに綺麗で
視線を逸らしたくないと思うほど吸い込まれて
言葉を失うほど見惚れてしまう――
「俺は、緋奈星さまを慕っております…
いつでも想っております…
愛して…います」
え…―――――



