燈冴くん不在で新年が始まり
仕事に集中しなきゃと思うのに
もうずっと頭から離れない。
今、貴方はどこで何しているの?
いつ帰ってくるの?
わたしの事、少しでも思い出してくれてるかな、とか。
…なんて図々しい。
パソコンのキーボードを打つ手が止まり
チラッと目が行く卓上カレンダー。
時間は先を進むだけ。
1月はリセットじゃない。
それくらいわかっているのに…
わたし自身は止まっている気がして。
燈冴くんはわたしに何か説明すると言っていたけど
なにを話すつもりなんだろ。
疑問ばかりが頭の中を埋め尽くして
マイナス方向に気持ちが向いてしまう。
もしかしたら…
もしかしたら
彼女がいる、とか?結婚しました、とか。
実は隠し子…
「さすがにそれが本当なら
わたしがどうにかなりそう」
首を左右に振って邪念を消す事に意識して
”仕事に集中』”ってハチマキでもする気持ちで
『よし!』と自分に気合いを入れた。
そんなわたしの葛藤を余所に
まわりは着実に変化をもたらしていて。
その始まりは
同じ部署の女性社員達の会話からだった―――
「そういえば今朝さぁ
グレーのスーツを着たイケメンが会社にいたの知ってる?」
「あー!それ私も見た!
20代くらいの男の人でしょ!?
見た事ない人だったけどウチの会社の人じゃないよね?」



