無彩色なキミに恋をして。


哀しくも儚くクリスマスは終わってしまい
わたしは空っぽ状態で何も手につかないまま
無常にも年の暮れまでもが過ぎていき
燈冴くんのいない新しい年が明けた―――――


仕事始まりの日。
朝食はハウスキーパーさんが用意してくれて
あいかわらず不愛想な父とテーブルを挟んで黙々と食事。

燈冴くんが出て行っちゃったのに
父は何1つ変わらない様子で気にする素振りなんて微塵もないし
”お手伝いさんがいなくなった”くらいの気持ちなら
本当、人として疑うレベルだ。

「緋奈星。
 今晩、仕事が終わったら話がある」

「…なに、今言えばいいじゃん」

「帰ってきてからだ」

趣旨も言わず目すら合わせなくてこの言い草。
挙句の果てに『後片付けを頼む』とハウスキーパーさんに頼んで、自分は早々と席を立ち自室に戻っていってしまう始末。

自分の親ながら血も涙もなくてガッカリよ。

こっちは燈冴くんが置いていったプレゼントをまだ付けられなくて…
付けられるはずがなくて…
箱に戻して棚の引き出しにしまい込んだままだって言うのに。

「燈冴くん…」

見る事だって辛くなる。
会いたい気持ちが募るばかりなんだから――――



「では今年も皆さん、しっかりお願いします」

会社に到着後
課長の挨拶が始まっているというのに
わたしは心ここにあらず。