無彩色なキミに恋をして。


女子社員達は皆、18時の定時ピッタリに
『今日は家族と一緒に過ごすので…』
『結婚記念日なので…』
って、ニコニコしながら帰っていった。
隣の席で一緒に仕事をしている同い年の山田さんも
『今日は彼氏と一緒に過ごすので、先に帰りまーす』って化粧直しを何度も入念に、幸せオーラいっぱい漂わせて帰っていってしまい、残るはわたし独り。

最後まで残っていた課長から
『漣さんは帰らなくて平気?』と心配されたけれど
帰ったって独りだし仕事している方が気が紛れるから、こういうとき働いている方が有難いや…


―――21:00



誰もいなくなった会社のデスクで無心にパソコンと向かい合い、何も考えないようにしていた。

それなのにスマホのバイブが鳴る度
燈冴くんかな!?って期待して開いて
違ってガッカリする自分もいて…。

『そんなに気になるなら自分から送ればいいじゃん』って悪魔に囁かれて仕事にならない。

この前まで自分から離れようと避けていたのに
いざ本当にいなくなると、こんなに気持ちが落ち着かなくなる。

まさかこんな形で叶うなんて…


スマホのロックを解除して
某SNSを開いたわたしは
燈冴くんに一言だけ…

”メリークリスマス”

ただそれだけ送信してスマホをグッと握り
ただただ切なくなって気持ち落ち込むばかり―――