無彩色なキミに恋をして。


思い出した。
燈冴くんが熱で倒れた時の、熱い口づけを―――

「あああああああれってッ」

鮮明に脳裏に浮かぶあのシーンがあまりに衝撃すぎて、思わず『うわぁぁぁぁぁぁ』って叫んでしまった。
一気に熱が顔に集中して、ゆでだこ限界寸前。

手の甲で口元を隠すわたしの反応を楽しんでいるような燈冴くんは、クスりと笑みを浮かべて追い打ちを掛けてくる。

「”足枷”も…
 別の意味で付けるのかもアリかもしれませんね。
 この足に。」

「…ッ」

悪戯っぽく笑いながらツーっと触れる右足首に
ビクッと体が反応するしで、触り方がやらしいんだって!

足枷の”本来の意味”
って一体、どういう・・・


心臓バクバクのわたしが身動き取れないのを知りながら彼は『おかゆでも作りましょう』なんて
さらっとはぐらかして離れていくから、ソファの上で放心状態。

こんな燈冴くんのイジワル…
心臓が幾つあったって足りない。
…し、これはもしかしてアレ…かな。
彼曰く、例の《《おしおき》》?

「それはそれで…ム、リ…」

ヒートアップした頭に風邪の熱が重なったわたしは
燈冴くんが出て行った部屋で1人
ソファで気を失ったのは…言うまでもない。


聞くに聞けなかった《《あの》》キスのことを
燈冴くんから…

あ、あんな形で言われるなんて…


でも“仕事じゃない”って…