無彩色なキミに恋をして。


何か別の誤解をされているのであれば
話は変わってくる。

「こんな時間にまさか燈冴くんが帰ってくるなんて思わなかったから…
 不審者かと思ったんだよ」

念のため事実(いいわけ)は伝えてみると
彼は事情をすぐに理解してくれて
『驚かせたのは私の方だったんですね』と謝罪を言葉にしてくれた。

「どうして燈冴くんが(ここ)に?」

気持ちが落ち着いたところでソファに移動し疑問を投げかけてみると、彼は考える素振りを見せた。

「それは…
 忘れ物をしまして。」

今一瞬“()”があった。

忘れ物なんて…
彼がそんなミスをするとは到底思えない。

「嘘、だよね。
 燈冴くんに限って忘れ物(それ)はない」

「買い被りすぎですよ」

言い切った事に対し彼は苦笑いを浮かべ
わたしもわたしで
どうしてこんな時に肩を持ってしまったんだろうと
目を逸らしながら心の中で嘆いた。

「実は…
 緋奈星さまの早退の連絡を受けまして。」

「まさか、お父さんにまで!?」

焦燥感に駆られたわたしに対し
彼は冷静に『はい』と頷いた。

子供の早退じゃないのに
いちいちそんな報告が行くなんて
やっぱりわたしが令嬢だから?

そう考えると
なんか無性にムカついてきて
関係ないはずの燈冴くんに牙をむいた。

「それで燈冴くんに様子を見てこいって?」

嫌味。
ただの八つ当たりだ。