わたしの朝は
至って普通。

起こしてくれる相手が
目覚まし時計じゃなくて“執事”って事くらいで。



緋奈星(ひなせ)さま。
 7時になります。
 そろそろ起きませんか?」

「ん〜…
 あと1時間…」

「何を子供みたいな事を言っているんですか。
 《《5分》》ならまだしも、1時間なんて
 もう起きる気ゼロじゃないですか」

毎朝6時半に執事の【真白 燈冴(ましろ とうご)】くんが
甲斐甲斐しく、わたしの部屋まで起こしに来てくれる。

問答無用にカーテンを全開し
朝日まで取り込んでくれるほど迷惑行為…じゃなくて優しい《《好意》》の彼。

「眩しい…」

視界に入る陽射しに思わず顔を歪め
掛け布団を頭まで被って寝返りを打つけど
優秀な執事は容赦ない。

「はぁ…。
 起きないつもりです?」

『それならば…』と
彼の気配を近くで感じたときには
頭まで被っていた布団を一気に剥がされ
次いでベッドは《《わたし以外》》の重みで軽く沈むから
目を開けざる得なくなってしまった。

「…何してるの、燈冴くん」

飛び込んできた美形イケメンフェイスのドアップに、朝の目覚めは最高だけども。
なぜわたしは私に覆いかぶさるように床ドン…ならぬ
枕元に手をついて顔を近付けているのだろうか。

「起きないのなら
 俺が強引に起こそうかと思って。」

ニコリと微笑み
さらりと強姦発言。